2013年8月7日水曜日

日本の医療事情1

これまでオランダの医療事情を書いてきたので、帰国して日本の医療事情を体感すればするほど言いたいことが山ほどでてくる・・・苦笑

ということで、これから日本の医療事情についてちょこちょこアップしていきたいと思います。

最近、ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーが遺伝性乳癌の予防治療の一環として乳腺をとったというのが話題になりましたが、日本ではこの話すごく盛り上がってます(ました?)。

というのも日本では遺伝性の癌の予防治療ということに今まで後ろ向きだったから?

同じく先天性遺伝子異常を持つ身としては、予防治療については癌を発症して遺伝子の異常が原因だったことが分かってからずっと向き合ってきた話。いまさら?という感じがするし、少なくともオランダでは保険内のスタンダード治療の一つなので冷めた目で日本での盛り上がりを見てるのですが、

はっきり言って遅すぎない?

というのが正直なところ。

ここからは主観で思いっきり毒を吐かせてもらうのであしからず。

癌治療って「早期なら治る」なんて簡単に巷では言われてますが、そんなに甘くないんですよ。患者は生死の狭間をさまよいます。それも1度や2度じゃありません。

抗がん剤の副作用は人それぞれなのでやってみないと分かりません

な~んて言う医者のきれいごとをそのまま信じてやったけど、今振り返って思うに

絶対2度とやりたくない!!!

えぇ、そうですよ。何もしなくて死んじゃってもいいと思える位、それ位癌との闘病はしんどい。だからこそ生きてる間に2度と癌にならない為に色んな事してます。

規則正しい生活したり、バランスの良い食事をしたり、ストレスをためないようにしたり。その色んな事の一つが予防治療。癌になるリスクを最大限回避する為の治療なんです。

ただ癌になっていない体の一部を取る予防治療は患者としても悩み抜いた上での結論。にもかかわらず、日本で医者とこの話をすると

予防治療として正常な臓器を取ることが全てではありません。
日本では倫理的観点から云々・・・

じゃ、聞きますけど、なーんにもしないと20%の確率で卵巣癌で確実に死ぬというリスク、なーんにもしないと60~80%の確率で乳癌になって運が良くても手術&放射線&抗がん剤3点セットして生死をさまようというリスクをあなた方先生達は取ってくれるんですか?

結局、自分以外の誰かが癌になっても「ご愁傷様」って他人事でしょう?

定期検診で分かることなんてほんの一部。それをきちんと教えてくれた上で何ができるかを正直に言ってくれるのが本来の形ではないんですか?

少なくともオランダでは教えてくれましたよ?

「あなたの場合、卵巣癌になる確率は5~20%で、40歳から年齢と共にだんだんあがっていきます。卵巣癌は自覚症状のない癌です。『静かな癌(?)』と呼ばれるほどで、何か変だな?と感じたら、すでに腹水がたまって余命数か月、ステージ4で手遅れの状態です。実際にエコーなどで検診もできますが、ほとんど何もわからないのが現状で、あなたと同じように先天性遺伝子異常の乳癌患者さんのエコーの定期検診はやめてしまった病院もありますが、うちではまだやってます。あなたはどうしたいですか?」

記憶ではこんな会話を病院でした覚えがあります。分かりやすく言えば、5人に1人は死ぬって言われる癌になるということで、ロシアンルーレット並の生存率ですか?って話ですよ。

私に言わせれば、予防治療は倫理的観念からできないというならば、20%の確率で確実に死ぬと言われる患者に何も手を施さない医者や病院の方が倫理的におかしいでしょ!と。

にもかかわらず、相変わらず日本の病院では予防のよの字もないし、仮に患者が賢くてその情報を自力でみつけたとしても、保険外診療。私の予防手術には全部で90万かかる云々。で、仮にその金額が払えたとしても、「悪くない体を傷つけるのは傷害罪にあたるから」とかなんとか言ってほとんどの医者や病院がやりたがらない。

こんな医療おかしくない?

これが帰国第1弾目の日本の医療について。まだまだきっと続きますよ~笑