2019年4月17日水曜日

ここが変だよ、日本の医療②

前回、医療保険の話から予防の話になったので、ちょっと自分の予防手術の話を。。。

実は乳がんの場合、遺伝性乳がんというものがあります。乳がんが遺伝するっていうのはなぜか?って話になるんですけど、実はDNAの一部にその情報が入ってるんです。

人の染色体は23ペアかなんかあって、そのうちのXとYで男女が決まるっていうあれです。そのいっぱいある染色体の何番目かの螺旋の情報のこことここを調べると遺伝性乳がんになりやすいかどうかっていうのが分かるんだそうです。

まぁ分かりやすくまとめると、DNAの中にバグを持っているかどうか。

で、私はそのバグを持ってるんですが、そういう人の場合、

-乳がんになる確率は60~80%
-片方の胸に乳がん見つかって反対側にも出来る確率は60%
-さらに卵巣がんになる確率も高い

細かい数字はもう10年も経っているのでうろ覚えで、しかもまた最近は違うデータも出ているかもしれませんが、まぁそんな感じです。

オランダの場合、これを放置するより予防的に

-両方の乳腺を全摘する
-卵巣がんの確率が上がる40歳代以上は卵巣摘出する

という話があります。そして近親者にも遺伝子テストを受けるよう勧めます。

それらの処置や検査をやるかやらないかは本人次第ですが、基本的にこれらはスタンダードの予防治療に含まれ、全て保険でカバーされました。そして合理的なオランダ人は殆どの場合予防的に処置をする方を選びます。私もそうでしたが。

そして処置しない方を選ぶと定期的な検診を受けるように指導されます。私も卵巣摘出まではその検診をずっと受けていました。

オランダの場合、保険でカバーされたので自己負担0でしたが、その費用は保険で賄われるわけですから医療費として考えた場合決して安くはありません。しかしなぜこの予防治療に保険が適用されるのか?ここを考えてほしいのです。

癌治療はやったことのある人ならよく分かりますが、生死を戦う治療なので正直辛い。めっちゃ大変。できればやりたくない。死ぬかもって分かってても途中で投げたしたくなるんです。

それ位、精神的にも、肉体的にも負担が大きい。なら、そのリスクを回避できるならしたいよね?っていうのが患者側の考え方。

では医療費としたらどうでしょう?がん治療って高いんですよ。前に書いたことありますけど、抗がん剤の副作用予防の注射1本1500ユーロ、吐き気予防の薬が2錠で300ユーロとかでした、私の場合。記憶は定かじゃないですが。そんな値段なので、抗がん剤自体は一体いくらなんだろう???と。だからそんな抗がん剤、数回やれば予防手術費の元はしっかり取れますよ、同じ遺伝子を持った親戚一同全部予防手術したとしても。そう、予防治療の方が最終的に医療費が安くなるんです。

患者にもよくて、医療費も削減できるなら、やるでしょ?

全ての予防治療が安上がりになるかどうかは知りませんが、安上がりになるものに関しては何でやらないの?と思うわけです。

2019年4月15日月曜日

ここが変だよ、日本の医療①

仕事に忙殺されて、全く何のやる気もなくなった今日この頃。ブログの更新も音沙汰ですみません。でもこんなに消耗する医療系のお仕事、やっぱり変なことがいっぱい。

全部ここで暴露出来ませんが、言える範囲で冷静に何がおかしいか、この際ちょいと書いてみようかと。ということで、以前オランダの医療について体験談を書きましたが(そしてそれは殆どポジティブな内容だったと思いますが)、今度は日本のこと。

まずは初めは日本の保険システムについて。
「国民皆保険制度」と言われるこのシステム。みんなで保険料出し合って、病気やケガの時は一部保険でカバーしてもらえるから安心して医療が受けられますよ~という素晴らしい制度です。

え?
皮肉ぢゃございませんよ?

国民全員が保険でカバーされない国がある中、みんなが保険でカバーされてある日いきなり癌になろうと、心臓発作を起こそうときちんと面倒みてもらえるんですから。まぁ多少の自己負担額はありますが、高額になる場合は上限とかあったりして至れり尽くせりです。

しかも日本の医療保険の特徴は「歯」がカバーされていること。世界のどこ探しても歯を無条件でカバーしてるのは日本位じゃないんでしょうか?

ま、その弊害の話はまた別の機会にするとして、日本のこの素晴らしい保険制度には大きな問題点があります。それは、『保険は病気かケガの時にしか使えない』こと。

えっ、それの何が問題なの?

と思ったそこのあなたは健康でまだあまり困ったことのない方です。実はこの考え方、「色んな病気を予防しよう!」ということには使えないのです。

一番一般的なのは人間ドックとかがん検診です。自治体で一部補助があったり、会社で負担してくれたりするのでお気づきではない方も多いと思いますが、あれって自分で受けようと思ったら「病気じゃないので保険は使えません。」って言われる類の診療になるのってご存知でしょうか?

そう、ググってみてびっくり。人間ドッグをきっちりやろうと思ったら5万円とかしました、うちの近所の病院。

でもね、癌って早期発見、早期治療でしょ?
早期発見する為には検診いるじゃん?

でも、癌の疑いがあって検査するなら保険が使えても、そうでないと自費で何万円もかかるんですよ。自治体とかでカバーされる検診なんてほんの一部ですよ?

そういう理由でオランダで勧められた予防手術が日本で受けられなくて、わざわざオランダで自腹切って(そして本当に自分のお腹を切ってもらったワケですが・・・笑)手術を受けたのは既に6年前。

という理由で日本は予防治療というのがとても遅れています。ただ、医療費増加が問題だ、やれ高齢化が云々というなら、なおさらこれからは予防治療に力を入れるべきなんですよね、本当は。それなら保険の仕組みから考え直すべきでは?というのがワタクシのスタンスなのです。

まだまだツッコミたいことがいっぱいあるので、これからちょこちょこ書いていきます!