2012年7月16日月曜日

オランダの医療事情16

初診では乳腺をとりさえすれば終わりと言われた癌治療。が、その後「リンパもとる手術が必要」、それが終わったら「抗癌剤も」、ついでに「将来的な子供のことも考えろ」と言われ、終わりの見えない治療で真っ暗なトンネルの中にいるような気分で半年経った頃・・・

ある日急に思い立ったのが

気分転換に休暇に行こう♪ 
じゃなきゃやってらんなーい、この状況!!! 

それがちょうどクマの誕生日の数週間前。ちょうど1度目の抗癌剤を終えて様子を見てた頃。

ちょうどいい!
ヤツの誕生日プレゼントってことにして旅行しちゃえ~

抗癌剤ってとにかく大変だと思い込んでいたものの、ちょっと吐き気がしてご飯が食べられない日が5日位続くだけ。

なーんだ、これならなんとかなるじゃん♪

子供の頃から自家中毒、乗り物酔い、大人になってからは飲みすぎ、アレルギーで吐く事に慣れていたのが、こんな所で役に立とうとは・・・(爆)

それで、検診の時に担当の腫瘍内科医に説教されるの覚悟で聞いてみた。

せんせ、こんなに延々と治療が続いていい加減嫌気がさしてるんですよね~。それで、抗癌剤の副作用もちょっとした吐き気が続くだけだし、気分転換に旅行してきていいですか?

そしたらあっさり

いいわよ~(^O^)/
やっぱり気分転換した方が治療を続けるのにはリフレッシュしていいし、楽しんでらっしゃい♪
で、どこに行く予定なの?

この辺りがゆるーいのはやっぱりオランダ!うん、大好きオランダ人♡

というより、患者の意思を尊重してくれる個人主義が徹底してるって事なんでしょうかね。ま、ともかくめでたく主治医からの許可がでたので、 家に帰ってすぐに始めたのは行き先探し。最終的にイタリアのベネツィアにけってーい!2回目と3回目の抗癌剤の合間に出かけることにして、早速飛行機とホテルを予約。えぇ、こういう行動だけは早いんですよね f(^-^;)

で、迎えた抗癌剤2回目の日。血液検査の結果、

白血球の値が低すぎて、抗癌剤できません・・・

えぇ~、まぢで???
てか抗癌剤の予定がずれ込むと旅行いけなくなるんですけど???(>_<)

焦って反論してみたものの

余りにも低すぎてダメはダメ。
だってあなた先日高熱だして入院したばっかでしょ!

でもこちらの意思はちゃんと尊重してくれて、

じゃあ様子をみて3日後(?)にまた血液検査をして、それで規定値に達していれば抗癌剤をしましょう。それなら旅行にいけますよね?

それで待つこと数日。その日の血液検査の結果、

やっぱり白血球の値が規定値に達してません!

えぇ~(T_T)

でもよくよく聞いてみたら、規定値にぎりぎり達してないだけ。それで「ちょっと位ならいいでしょ」とゴネてみた。

お出ましになった腫瘍内科医は「リスクがどうの・・・」とうんたら、かんたらと面倒な説明を始めてしまった。けれど、そんなのそもそも聞く気は全くないので、

だから誰の何のリスクなの?
それだったら自分でとるから!!!

って言い切っちゃいましたよ。そこまで言われたら先生も苦笑して「分かりました」と言うしかなく、めでたく2度目の抗癌剤、そして3日後にはベネツィアへ旅立てたのでした。

ま、こうやって思い出せば面倒な患者ってだけなんですが、それでもオランダらしいと思ったのは、患者の希望をなるべくなら叶えようとしてくれること。

「リスクは自分でとるから」なんて啖呵きった所で、調子を崩した患者を診なくてはいけないのは勿論病院側。それでも「旅行に行く」という希望を叶える為に抗癌剤の日程をちゃんと考えてくれ、いざという時の対処法までちゃんと決めて送り出してくれた病院側にはやっぱり感謝してます。

別の病院、別の国でどのような治療が行われているか知る由もありませんが、オランダのゆるさというか、柔軟性は場合によっては「いい加減」とよく言われますが、それでもそのお陰で病気の間中かなり好き勝手やらせてもらえたのは、長期にわたる治療と向き合うのにプラスに作用したと言えると思います。

2012年7月11日水曜日

怪しい料理!?

ちょっとマジメな話が続いてるので、この辺で閑話休題。

実は毎年スペインの知り合いから イベリコの黒豚の足1本もらってます。

こんな感じ↓

これ、そう簡単に食べ切れるものではないので、いつも人が来るときに切って 酒の肴にしてます。

え?マクロビはどうなったって???

こういう時は勿論マクロビは返上します!(笑)でもこの黒豚くん、色々等級があって もらうのはいつも最高級のべジョータ♪ (べジョータの詳細はこちら→ http://mixi.zz.tc/iberico

どんぐりだけ食べて育った黒豚くんなので、オーガニック(有機栽培?)。脂こってりでほんのりナッツの香りが漂いますが、これだと調子が悪くならないので、やっぱりいい豚なんだと思います。

で、いい加減食べつくして出てくるのは 勿論、骨!

なんだか微妙にまだ肉がついててこのまま捨てるのはなぁ・・・
しかも高級食材でしょ???

ということで知り合いのスペイン人に聞いてみたら、答えは

スープ作るのよ♪
美味しいわよ~

なるほど!!!

作り方もしっかり教わり、必要食材の野菜やサフランもちゃっかりもらってきて、いざ!とハンマーを持ち出してみた。

が・・・
骨が頑丈すぎて壊れない(汗)

とーぜんこの程度でめげないんで、近所のおっちゃんの所へ骨持参=3 スープ作ったらおすそ分けを条件に のこぎりで骨を切ってもらうことで商談成立!

そこからは

骨を一晩水につけてー
乾燥ヒヨコ豆も別に一晩水につけてー
水を入れ替えきれいに洗ってー
がんがん茹でながら灰汁とってー
別の具を炒めてから入れて一晩寝かせてー




と延々と時間をかけてできたのがコレ!

ヒヅメ付だとなんだかめっちゃ怪しい!?
でも時間かけて作っただけあってめっちゃ美味しかった♪
いや~、満足、満足♡

2012年7月9日月曜日

オランダの医療事情15

前回に抗癌剤中の副作用で白血球がほとんどなくなってしまったというのには触れましたが、これが一番大変な副作用の中の一つとも言えました。

で、1回目の抗癌剤直後に分かった白血球の減少。白血球のある値が2以上が健康な状態と言われるのに、私の値は0.05。数値をみて青ざめてしまったのは担当の内科医の先生でした(笑)

この時点でまだ普通の生活が出来ているのに、「命に危険がある状態」と言われても実際にピンとこず、どうなるかまだ想像ができなかったのですが、だるくて動けないというのはその直後にすぐ自分でも分かった影響の一つ。

それより深刻だったのが、外界からの菌。38度以上熱が出たらすぐ連絡するようにという予告通り、ある日外出して帰ってきたらどんどん寒気がするんですね。熱を測ったら38度弱。まだ大丈夫と思っていたらあれよ、あれよとあがっていく・・・

も、もしかしてこれってめっちゃヤバい???

で、まずは言われた通り腫瘍内科に連絡取ると、幸いに担当の先生がいらっしゃってすぐ状況を確認。そして病院へすぐ来るように指示されました。

が、行く先は担当の腫瘍内科ではなく、緊急へ。「なんで? 」と思ったものの言われた通りに家から5分の病院へ車で向かいました。


緊急へ行くと受付はかなり混雑してるんですね。確か夜の10時頃だったはずなんですけど。ただすでに腫瘍内科から連絡が行ってたので、待つこともなく他の患者さんをすっとばしてすぐに中に呼ばれ、ベッドで点滴。状況からして優先順位をつけて患者さんを診ていく模様。で、事故患者の危ない人が一番で、私はその次位でした。ま、窓口で待ってる患者さんにはそんなことは分かるはずもありませんが。

で、熱も測ってもらってその時点で42度とか。そして機械があき次第、肺炎などの検査を一通りされました。色んな検査をするのにレントゲンとったりするので、「あ、だから腫瘍内科ではなく緊急に呼ばれたのか!」と漸く納得(笑)

幸いにして何も深刻な状況は見つからなかったので、抗生物質の点滴をしてもらってそのまま入院決定。そしてベッドごと移動して着いた先が腫瘍内科の病棟。抗生物質のおかげか熱が下がったのもすぐ分かり、「緊急で検査、その後様子見は担当の腫瘍内科なんて、なかなかよく出来た対応じゃない♪」なーんてことを考える余裕もあったり。

1人病室でぐっすり眠って翌朝おなじみの朝の検査。熱も血圧も全て元通り。病院嫌いなので先生に頼み込んで(正しくは懇願???)、「家で3日はおとなしくする」という約束の下、さくっと9時半には退院させてもらいました。

6度の抗癌剤中同じ体験を2度しましたが、2度目は寒気が半端なくて布団をかぶってた所の検温だったので、46度とかいうありえない数字でした。が2度とも深刻な感染症はみつからず、緊急&腫瘍内科の連携プレーですんなり対応してもらえ、条件付でも翌朝退院させてもらえたのはやはりラッキーだったと言えます。

ちなみにこの入院もその当時、保険で全額カバーされましたが、最近オランダも不況で保険がどんどん削られ、このような抗癌剤での入院は自己負担が発生するようではありますが。

2012年7月7日土曜日

オランダの医療事情14

しばらく書いてなかったこのシリーズ。実は色んな方から役に立つと言われていて、やはり記事のアクセス数は伸びる一方なので、忘れる前にまた時間をみて少しずつ書いていこうかと思います。

正直あまり思い出したくない抗癌剤投与中の話。抗癌剤というのは体にとって毒なので、色んな副作用があります。人によってこの副作用は様々なので、結局投与されるまで自分の体がどう反応するかも分かりません。副作用が強すぎるので、状況によっては抗癌剤を投与しない(=治療をしない)という選択肢もある位ですから、まぁ楽ではありません。

当然ながら、副作用が強すぎて生活に支障をきたしたり、下手をすると命にかかわることもありますので、その副作用を抑える薬というのも数多く存在します。薬の為の薬っていうと「一体何の為の薬なんだか・・・」という気がしないでもありませんが。

吐き気を抑える薬、その他諸々処方され、一粒が百ユーロ(1万円)以上するものもあったように記憶しています。保険でそれらの費用はカバーされているので自腹はきってませんが「ぎょ、こんな高いの?」と毎回驚いていました。

その中でも桁外れだったのが、白血球の減少を抑える注射でした。一番酷かった副作用が白血球の減少で、初めての抗癌剤の直後はほとんど白血球がありませんでした。つまり、外界からの菌に対抗できないので、命の危険がある状態だったわけです。そして2度目の抗癌剤以降は白血球の減少を抑える注射とセットで抗癌剤投与となりました。

遺伝子に働きかけるとかなんとかいうこの注射、直前まで冷蔵保存してなくてはならず、しかも抗癌剤投与から決まった時間に注射とか色々しばりがあります。とはいえ、命に危険があるような患者を何度も通院させるような非人間的な真似はオランダではあろうはずもなく、自宅にいながらにして注射してもらえるというすばらしいシステムでした。

ということで、前もって腫瘍内科から連絡された抗癌剤の日程にあわせて、自宅にこの注射がクール宅急便で送られてきます。そしてあらかじめもらっている連絡先に電話して予約を取ると、その日時に看護師さんがやってきて注射をしてくれるという仕組みです。ま、お腹にちょいと刺す注射で、そのやり方は別の治療で習っていたので、2度目以降は面倒なので自分でしますということにしましたが。

まぁこの至れりつくせりの仕組みつきの注射、小指の先ほどの小さなものですが、そのお値段、3年前で1本1500ユーロ(15万円)也!ちーん♪

抗癌剤6回投与したうちの5回ほどこの注射したので、これだけで7500ユーロ(75万円)ですよ。いやはや、製薬会社の羽振りがいいのも超納得!(笑)