2019年11月30日土曜日

歯医者の仕事は命がけ!

さてさて最近あったうちのクリニックでのお話でございます。

ある日突然おじいちゃまがノーアポでいらっしゃり、受付で大きな声であーだ、こーだ始めたワケです。

詳細はともかく、

自分は被害者だ。これから警察行くぞ!

これですわ。

ワタクシ、このおじいちゃまにお会いしたのはその日が初めて。それなのに今年初めに受診したとかなんとか。

門番のワタクシをすっ飛ばしてうちのクリニック受診なんて不可能でしょ!(笑)

話が全く通じないので、ここでワタクシ考えました。

痴呆か?(実はこの地域、意外と『あるある』なのです!)

とりあえず、このおじいちゃまの話に乗ってあげて詳細を聞いてあげると、なーんと最後の受診は数年前。

やっぱり痴呆かぁ~???

とはいえお話は一応通じるし、痴呆特有の感じも見られず・・・

受付占領されると、他の患者様に迷惑なので待合室のコーナーで話をすること約1時間。

ながっ!!!

年配の方によくあることで、大体の話はどうどう巡りの繰り返し。
まぁ、吐き出させるしかないので聞きに徹して、本人の要求を聞きましたよ。

内容は詳しく書きませんがみじかーくまとめると、

金銭要求に応じなければ何かやらかすぞ

っていう脅迫ですね♪

ちなみに弁護士さんに相談すると、これだけで脅迫罪、恐喝未遂が成立するそうで。

とりあえずこのおじいちゃまにそのまま帰ってもらえるよう話をつけて、その日は何事もなかったのですが、一応警察にもご相談。すると当たり前ですが、どんどん話が大きくなってきて。。。後になって、私かなりヤバかった?と怖くなり。。。

去年だったか、抜かなくていい歯を抜かれたからと刺殺された歯医者さんが山梨の方でいらっしゃいましたが、結構この手の話があるのが歯医者さんらしいです。

っていうかねぇ、診療報酬バカ安で、めっちゃ大変な仕事して、こんな怖い思いして、しかも訴訟と隣り合わせとかってやっぱりおかしいよ、この業界。。。と思う今日この頃。

2019年11月28日木曜日

ここが変だよ、日本の医療⑥

前回からの続きで、

儲からなくなってしまった業界は今後どうなるの?

という所から。
なんの世界でも同じですが、赤字だと続きません。必然的に崩壊していくのみです。これがボランティア活動だろうと、非営利団体だろうと、営利目的の会社だろうと、収支をトントンか黒字にするのが基本です。

だから危機感があるし、危機感を持ってほしい。
医療システムが崩壊したら、どうするの?と。

ちなみにタイムリーにFAXが届いていました。内容は、歯科の診療報酬(つまり保険のルールでの診療で請求できる額)がどんどんマイナスに改定されて2002年から10%以上カットされてるとのことです。

普通の会社なら値上げすることはあっても1割も値下げするなんてことはこのご時世ほぼないでしょう。でもそれを強要されているのが医療機関です。

さらにこの20年間、人件費はうなぎのぼりです。有給取得は義務化、最低賃金の値上げ(都心部では時給約1000円です)、消費税もあがり、店舗の賃貸料もどんどん上がっています。

そんなんで業界が疲労しないワケないじゃん!

ちなみにですが、歯の治療の値段が西洋と比べて、日本は桁が二つくらい違うなんてザラです。場合によってはアジア諸国より安いですしね。

かかる時間、労力、そして技術を考えると諸外国の値段が適正価格だと思います。そして実際に治療している先生も多分同じように思ってらっしゃることでしょう。中には「(アホらしくてやってられんから)うちは自費だけできっちりお金もらってやるわ」って方もいらっしゃいます。ただ中には「金にならんし、適当でいいわ」って先生もかなりの数いらっしゃるのも事実です。

ではサービスを受ける側の視線でそれってどうなの?

うちに来られる殆どの患者さんは、「保険でできる範囲で悪い所全て治してください。」というのが基本です。そうすると、「自費だけできっちりお金とる先生」も「お金にならないことは手抜きする治療が適当な先生」も求められていないことになってしまいます。

んじゃ、どうするの?


知人・友人からよくある質問。

全然痛くもなんともないのに「抜かなければいけない」って言われた
歯周病で抜歯するんだけど、「両側入れ歯よりインプラントがいいよ」って勧められた
やたら自費を勧めてくるんだけど。。。

あるあるです。
別にこれだけでダメって決めつける訳では全くないんです。勿論、それが患者さんにとってベストというケースもあるでしょう。ただ質問を重ねると大体わかってきます。本当に患者さんのことを考えての提案なのか、それとも経営の為なのか。

詳細はともかく、ビジネスとは何の世界でも黒字であって初めて長く続くものになります。赤字の不健全なビジネスは淘汰されるのが世の常。このままでは歯科業界自体が危ないよ、と思うわけです。

ちなみに、最近の子供たちはお勉強が出来ても医学部や歯学部へは進学しないそうです。私自身もエリートサラリーマンたちの間で揉まれて、それなりに30代で稼いでおりましたから、その投資に対するリターンを考えると妥当だな、と思う今日この頃。

その代わり自分が歳を重ねた時に歯医者探しで困らないように、今からしっかり予防に力を入れとこ♪っと職場のお姉さま達に歯のお手入れをちょいちょいやってもらっているのであります。

2019年10月7日月曜日

ここが変だよ、日本の医療⑤

ちょっと違う話を続けたので、また話を元に戻して… っと。

ちなみにですね、何年か単位で「やれ医者が足りない」「やれ歯医者が多い」「看護師不足だ」「介護の人手不足」などと繰り返している日本の医療業界。ここずっと「歯医者が多い!」が続いております。

オランダの場合、医者、歯医者などの数を政府がコントロールしてまして、一斉に大学の数を過去に減らしたりということもしていたようです。私がいた当時、オランダ国内で歯学部がある大学は2校だけになっていました。また矯正医に関しては、歯科医師免許を取って何年か働いて諸々の条件を満たして始めて、その専門医コースに申し込めるそうですが、その入学希望者は数があまりにも多いので、最後は抽選だとか。

一方の日本は、私立の歯科大もある中、いきなり「閉校してください」なーんて横暴が許されるはずもなく、どうやって歯科医師の数を減らすか…というのが問題なんだそうで。

ちなみに私が聞いた範囲で、

歯科医師免許の国家試験を難しくする
早く歯科医師を辞めやすい女性、外国人を優先
診療報酬の点数をそぎ落とし、歯科医院が潰れるのを待つ

とかなんとか。
で、国家試験の方ですが、ある先生に言わせると「クイズみたいな問題がいっぱい」とか。で、その効果があってか、余りにも合格率が下がってしまい、最近では学校ごとに合格率を公表してます。すると合格率が低いとみっともないので、国家試験に合格できなさそうな学生はあらかじめ卒業させずに留年させて、国家試験が受けられないという状態を作り出すそうです。ま、私立の歯科大は授業料収入が増えるのでいいのでしょうが。そんなんでいいんでしょうかね、やれやれ・・・

ちなみに歯科医院の倒産と言えば、結構バタバタ潰れていってます。まぁどのビジネスも出店して5年持たせるのは大変だそうですが、聞くところによると歯科医院の場合、開院して5年で6割が潰れるんだそうです。今じゃコンビニより多いといわれる歯科医院、その割にやれレントゲンだ、治療用の椅子だ、と開院するのに絶対必要な初期投資がとにかく大きい。競争激化の中で投資の回収大変だわな、と冷静に考えれば分かりますが、それでも一国一城の主になりたい願望が大きいのが男性歯科医師ってイメージでしょうか。

歯科医院の責任者(つまり院長先生)は歯科医師でないといけないという医療法のしばりがあるのですが、歯科医師免許とるのに経営センスはいりませんし、お勉強ができるからとか、治療の腕がめちゃくちゃいいから、とかいう理由で経営が出来るほど、甘い世界ではありませんからねぇ。。。

ちなみにどっかの本で読んだのは、最終的に頑張って開院したものの、年収200万クラスの先生が結構いるとか。6年も大学行って、大変な量のお勉強してようやっと歯科医師免許取って、何年も修行して腕を上げてからやっと開院しても、新卒サラリーマンの初任給より低いってさすがにそれはかわいそうだわ、と思いますけどね。

そんな中、もちろん成功された先生もたくさんいらっしゃるようですが、

僕は開院してX年で、売上X億に成功しました!
その成功の秘訣を教えます!

的な自称成功しました系のコンサルになってらっしゃる方が多いです。それも結構な数いらっしゃって、やれDVDだ、やれセミナーだ、とやってらっしゃるんですよ、そういう先生。でも本業でそんなに成功してるなら、なーんでそんなコンサルなんてやってんの?って話です。

ま、この辺の話を掘り下げすぎるとまた話が脱線するのでこの辺にしときますが、問題は儲からなくなってしまった業界は今後どうなるの?って話です。

と書き続け、気が付くとまた長文。。。
ということで今回はいったんここまで。そして つ・づ・く...(笑)

2019年9月9日月曜日

人材採用の裏側③

今回はこれまでと違って、ご近所さんのお話。

実は今、この地域の高齢者の間に激震(?)が走ってます。なんと地域医療のメインだった病院が閉まることになったそうです。それも急に・・・

閑散とした周りを山と畑に囲まれたこの辺りの地域。お店らしいお店もなく、御用邸のある葉山とは言え、「ド」が付くほどの田舎です。片手で数えられるほどしかなかったコンビニはここ数年で2軒潰れ、残るはあと2軒。。。

そんな所に位置するうちの歯医者。殆どご近所さんが患者さんです。高齢者が多い地域なので、葉山の栄えている方(海や御用邸周辺)まで通いきれないからとうちに来られますが、同じ理由でそこの病院に通院されている方が多かったのです。

で問題は、

次はどこの病院に通えばいいの?

って話。まだ車の運転が出来る方はまぁ問題ないとして、これまで歩いて通院されていた方は、バスで通える範囲で別の病院を探さなくてはならないんですね。そのバスも1時間に1~2本という地域なので、不便この上ない。90歳越えのおじいちゃま、痴呆のおばあちゃまのお世話をしながら、遠くまで通えないってぼやいてらっしゃいました。。。

この方だけでなく、通院事情はどなたも似たり寄ったり。特に最近は高齢者の車の事故が多いことから、免許返納も増えているので尚更です。

つまりこういう地域で医療サービスを提供するということは、そういう方々の生活の一部として責任を持って、ずっと見続ける覚悟というのが必要なのではないかと思います。ま、あくまでも私個人の意見ですけど。

で、ここからは内部事情の話。

色んな方からちょこっとずつ聞いた所によると、そこの院長先生が去年亡くなり、新しい先生が見つかるまでの間、臨時の先生がいらっしゃり、やっと新しい院長先生が決まってまだ日が浅かったのですが、どうもその新しい院長先生が辞めることになり、次が決まらないから閉めるんだとか。

これが完全閉院なのか、休院なのか、よく分かりません。いずれにせよ医療機関の場合、診療を続けるにあたって、ドクターがいようと、スタッフがいようと、その医療機関の責任者、いわゆる院長先生がいないと医療機関として存在できないのです。まぁ会社で言うと社長さんですが、次が決まるまでちょっと社長不在で会社をまわす・・・なんてことが医療機関は出来ないんですね。

当然このお辞めになる院長先生なら、それがどういうことを意味するか知ってると思いますが。。。

そんな簡単に辞めちゃうんだ。
あなたが逃げ出して患者放り出して平気なんだ。。。

ってどうしても思っちゃうんですよね。どんな事情か分かりませんが、次も決まらないうちに辞めちゃうとかどうなの?って。しかも引き継ぎなし、通える病院への紹介もロクにできてなくて。。。しかも閉めるまでの間1~2週間の猶予はあったみたいなので、心臓発作とかでいきなり入院したとか、死んじゃったとかいうワケでもない。

患者目線で考えたら、

たった数か月で辞める程度の覚悟なら、そもそも論で来ないでよ
それで病院閉まっちゃう方が迷惑なんだけど・・・

って思う人いないのかなー?

ま、詳細が分からないのでここでその先生の批判をしたいワケではありませんが、自分が患者期間が長かっただけに、お世話になった先生やスタッフのみなさん、病院を何が良くて悪いか冷静にみちゃうんです、ワタシ。それで最近の特に若い世代で医療系に覚悟なしに入って、簡単に放り出して逃げる子が多いなーって。これはドクターであれ、他の資格職であれ共通していて、この業界共通して離職率高し。

自己中で逃げ出したヒト、これまで何人みただろー

いずれにせよ病の患者さんファーストではなく自分ファーストしちゃう人って医療系むいてないと思いますけどね。

とかいうことを考えながら、ちょっとモヤモヤしている今日この頃。。。

2019年7月27日土曜日

人材採用の裏側②

前回、採用のお話を書いたので、今度は採用後のお話。

まぁ、6年事務やってみて分かったのは、1年以上続く人って本当に一握り。大きな会社でも最近、新卒採用者がすぐ辞めるって聞きますが、小規模の個人事業なんか尚更です。

割合で行くと、1年以内で辞めない方が稀です、はい。

転職が当たり前のオランダにいても、1年未満でジョブホッピングなんて「えっ?」って感じですから、カルチャーショックと言うレベルを既に超越してます。

普通なら、よっぽどブラック企業なんでしょ?

と思われる所かもしれません。しかしどこの医院も似たり寄ったりみたいなので、別にうちが特別なんとかって話ではないようです。とにかくとんでもない売り手市場の、超がつくほどの人手不足の業界なんで、人件費はうなぎのぼり。隣の芝生が青ければホップ、ホップ、ホップって所です。まぁ殆どの場合、何も考えずにホップしてるだけでステップ+ジャンプにならないのがミソですが。(笑)

ちなみに医療系は、労働基準監督署に言わせれば殆どブラックとカテゴライズされかねない環境の所が多いです。有給取れない、残業多い、休憩ない、はザラです。勿論、うちは頑張ってホワイトにしているので、記載されている時間より実際は短いのですが、大抵の場合、就業時間に関してはスタッフの善意で成り立っている側面も多い業界なので、

時給計算するとマックのバイトより時給安いよ、ボク

と言われていた某科のドクターもいらっしゃいました。そんな中、見せしめ(?)的に労働基準監督署の調査が入った東京の某大病院。お役所さまの言う通り四角四面のルール通りスタッフの労働条件を変えた所、土曜日の診療は完全になくなったそうです。そりゃそうだ、きっとスタッフさんみんな善意で長時間労働されてたんでしょーねぇ。。。

ちなみに残業、過労に関して目くじら立てる人に限って、残業の強要する人が多いです。そう、受付とかで

痛いんだから、今すぐ診て!
ちょっと遅れただけなんだからいいでしょ?

とか言う人達。結構、こういう方達の相手って大変だったりします。ここでディスって炎上させたくないので、深くは書きませんが。

ま、そんな感じで元々色んな意味でキツい職場なので、ホワイトな職場でも覚悟をもって入職しないと1か月持ちません。分かりやすく言うと、ほとんどが根性なくて辞めるってことですが、それでもいっちょまえにそれなりの理由をつけてみんな辞めていきます。(笑)

最近の子の例

家から近いとか、給料がいいとか、仕事が早く終わるとか、一つでもいいことがあれば頑張れたんですけど。。。

だって。「そんなの入る前から分かってることじゃん?」って突っ込んでみたら

ここは人柄がいいと思ったから入ったんです。

だってさ。「そう、じゃあ人柄が良くなかったんだ」ってさらに突っ込んでみたら

はい

って、堂々と言えちゃう子だから、そりゃ無理ですわ。(笑)
でも実際の所夜間診療ある日は、終業時間より大体20~30分早上がりで、ひどい時は1時間近く早かったんですけどね。

次。
前職場でイジメられてたって子。それはそれはどんくさい子で、そりゃ忙しい職場だとさぞかし嫌がられたんだろーなーって思っていたんですが、案の定10日位でギブアップ。

帰りのバス停が暗くて。。。
母もそんな所じゃなくても仕事あるっていうし。。。

だそうで。太陽のせいで人を殺したっていうカミュの世界か?と突っ込みたくなりながら、だから入る前に『夜遅くなるし、バス通勤大丈夫?』って聞いたよね?と返すのがい
い所。ちなみにこれまでバス通勤者は何人もいましたが、バス停が暗くてって言った子は後にも先にも(今の所)この子だけです。

はい、次。
新卒で、なかなか職場が決まらずうちに来た子。遠いけど、頑張って通います!と宣言して入職して3日目の朝、LINEが飛んできて

やっぱり遠くて通えません。良くして頂いているのに、心苦しくて昨日から吐き気があり出社できません。ご迷惑をおかけして申し訳ないので、給料はいりません。

だって。その後、LINEにメッセージ送っても既読にもならない。えっ、これって私アカウントブロックされた!?

言葉ヅラは丁寧だけど、その行為が全て物語ってるよね。(笑)
ちなみに給料いらないって言われても、こっちも法令遵守の必要から弁護士に連絡して、どういう対応をしたらよいのか、そして既に出してあった雇用保険や厚生年金などの取消手続き(←勿論イレギュラー!)などてんやわんやですわ。

しかも吐き気がして病気だから行けませんって、仕事に行かずに辞める体のいい理由付けでしょう?責任感のかけらもありませんね。

で、迷惑かけないって言って送り返された制服は勿論、クリーニングに出しているはずもなく、こちらが診療後に持っていって自腹切ってきれいにするという。。。

ネタは尽きないので、まだまだ続き書けますが、とりあえず今回はこの辺で。

2019年7月18日木曜日

人材採用の裏側

最近、医療システムのかたーいお話が続いたので、この辺りで閑話休題。(笑)

日本に完全帰国して、色んな事務のお手伝いするようになって久しいのですが、その中でもカルチャーショック受けるような洗礼を受けたのが、人事のお仕事。

いやー、色んな人いるんだな

ってつくづく思います。そう、これまで私が接したことがないようなタイプの方々にお会いします、今のお仕事。

まず面接での服装。

へそ出しルック
マイクロミニスカート

で、度肝を抜かれます!(笑)

えっ、面接でしょ?
それって遊びに行く恰好じゃないの?

と思われた方。私と同じ世界の方です!しかもそういう恰好で来る人が一人、二人だけじゃないのですから、一定数の方々は

歯医者の仕事の面接ならこの格好で問題なし

と思われてるんでしょうねぇ。ふ・し・ぎ♡

しかし、この程度で驚いてはいけません。だって、面接に来るだけマシ、なんですから。

面接をドタキャンする
面接に連絡なく遅れる
面接に来ない、そして連絡もない

これも結構ザラにあります。天下のハローワークからの紹介者(つまり失業保険の受給者?)でも普通に連絡なく来ないんですから、すごい!

ま、そんな人材でも雇ってくれるなら・・・ってことで政府も助成金積んだりしてますが、そもそも論でそういう方々は歯科業界3日と持たないことでしょう!(笑)

この業界、離職率がとにかく高い!そのうちのほとんどが1か月持ちません。意外と介護はキツいってイメージありますが、歯科業界がキツいってイメージないらしく、安易な気持ちで入ってみて現実みて青ざめるケースです。

当たり前じゃんね。
終戦直後から診療報酬が変わってないんですよ?そんな収入きっちきちの所で楽な訳ないでしょ。しかも医療系ですよ?

特に歯科助手の場合、ぶっちゃけ資格いらない、学歴いらない、誰でも出来る仕事なんで給料は良くないです。そんでもって覚える量は多いし、そこそこ大変だし、精神的にもキツいし。

というわけで、そういう人たちが退職する時の話はまた後日。

2019年6月15日土曜日

ここが変だよ、日本の医療④

前回、歯科業界において、日本の保険システムが弊害をもたらしてるって話をしたので、どうよくするべきかって話をオランダの保険システムと比べながらちょっと綴っていきます。

まずはよく聞くこういう話。

日本では歯医者の治療が安いけど、外国は高くていくら請求されるか分からないから、海外行く前に日本で歯を治したい。

或いは、

海外は歯の治療が高いから、日本に帰国してる間に歯を治したい。

とかね。

はい、日本の歯医者が安いのが当たり前だと思っているそこのあなた。今日からその意識を変えて頂きたい。海外が当たり前の値段で、終戦直後から歯の治療費が据え置きのままの日本の価格が間違ってます!下手するとアジア諸国の方が治療費高いですからね。

ま、そっちについてはおいおい触れていきますが・・・

安いから「痛くなってから治せばいいや」で歯を大事にしない
歯を大事にしないから、悪くしてどんどん医療費がかさむ
医療費がかさむから、治療費が安いまま押さえられてしまう
そして安いから歯を大事にしない

という無限ループに陥ってます。

その意味、オランダの保険はすごかったです。といってもカレコレ帰国して6年も経っちゃったので、少し変わってしまったかもしれませんが、少なくとも私がいた当時はこんな感じ。

覚えている限りで、年2回歯のクリーニングは必須項目でした。必ずみんな歯のクリーニングに行かないといけないのです。そしてそれを怠って歯を悪くした人は、歯の治療が保険でカバーされません。ま、その保険にしても、歯の治療費も出る保険のオプション料をきちんと払っている人に限られますが。

そして歯の治療のオプション料をきちんと払っていても、なんだかんだと最低自己負担額とかがあって高いのですが、そんな中保険でカバーされないとエラいことになってしまうのです。ということで、私の周りではみんなきちんと歯のクリーニングに通ってました。

そんな国にいると「歯は自己責任」という考え方が根付きます。悪くしたくなけりゃ、ちゃんと自分で手入れするしかないって思うわけです。そうすると、クリーニングにもきちんと通うし、家でもきちんと磨くし。やっと今頃電動歯ブラシが激戦となった日本と違い、既に10年以上前には音波歯ブラシのSonicareが一人一本とか当たり前でしたしね。

さらに付け加えると、自己責任である歯を悪くしない為に歯の矯正をします。つまり予防歯科の位置づけで、『歯並びがいいと歯みがきがしやすく、ゆえにむし歯にも歯周病にもなりにくい』と言う考え方です。ということで、その当時18歳までの矯正は保険(基礎の部分で、オプション料無しの保険)で全額カバーされていました。

で、ここで思うワケです。
18歳までに矯正して、きちんと歯のクリーニングに通う値段と、日本のように悪くしてからガンガン治療費かけるのと、果たしてどちらが国が負担する医療費が高くつくのだろうかと。

元々の保険料や保険システムが違うので、ここで単純比較することは難しいとは思いますが、それでも予防する方にお金と労力をかけた方が、最終的には安上がりなだけでなく、食べる喜びをずっと感じられる人間らしい生活が出来るのではないかと。

2019年6月10日月曜日

ここが変だよ、日本の医療③

乳がんの予防治療について書いたので、今回は歯科業界の予防について。

日本の保険制度として「病気やケガじゃないと保険を使って治療はできません」というのがスタンスというのはこれまで書いてきた通り。

で、ここからは歯の話。
よく歯医者さんで歯のクリーニングをしますけど、別に痛くもなんともないのに何で保険で歯のクリーニングが出来るの?と思いませんか?

実はこれ、自覚症状ない歯周病治療の一環として実は保険を使ってクリーニングしているのが実情です。そしてむし歯も歯周病も、予防をするにはクリーニングから。これは、歯についた汚れの中に菌がうじゃうじゃいて、その菌が悪さをしてむし歯になったり、歯周病になったりするからなんです。

そこを理解して定期的に検診と言う名の歯のクリーニングをしている方の場合、大抵ひどくなる前にむし歯なり歯周病なりの治療が出来るので、そんなに大事にならないケースが殆どです。余談ですが、私の知っている定期的に検診に通院されている90代のとある方は、殆どの歯が残っています。

そうやって手入れしてれば、きれいに残るハズの歯ですが、大抵の方は残念ながらそういうワケに至ってないのが現状です。だから歯科医師会とかが一生懸命「8020運動」と言って「80歳の時に20本以上は自分の歯を保ちましょう」ってやってるワケです。

80歳以上で20本以上残ってる人って一体どれ位なんだろう?

と。色んなデータ探してみると、80歳代で平均値が7~10本くらいみたいですね。見つけるデータによってそれぞれですけど、まあ20本なんて残ってないのが普通。実際に高齢者相手している実感としてもそんなもんでしょって感じです。

じゃあ他の国の人達って入れ歯は少ないの?

実際、私の感覚ではオランダはすごい少ない気がします。あんまり、日本のように「入れ歯があわなくてね」なんて話聞かなかったから。実際、オランダで歯医者さんやってるお友達に聞いたことがありますが、やっぱりそこのクリニックも入れ歯が殆どいないそうです。

ではその違いは何か?

個人的な見解ですが、それは病気やケガじゃないと保険が使えない日本の保険システムにあるんじゃないかと。

そもそも論で、「歯周病の治療としてのクリーニング」って保険を使う建前なんてバカみたいなこと歯医者にさせずにちゃんと予防は予防として保険システムを確立してやんなさいよ、どーせみんなやってんだから。そうすることで、患者側の意識も良い意味で変わると思うんですよね。

ということで、どういうシステムなら考え方がよい方向に変わるのか続きはまた次回書いてみたいと思います。

2019年4月17日水曜日

ここが変だよ、日本の医療②

前回、医療保険の話から予防の話になったので、ちょっと自分の予防手術の話を。。。

実は乳がんの場合、遺伝性乳がんというものがあります。乳がんが遺伝するっていうのはなぜか?って話になるんですけど、実はDNAの一部にその情報が入ってるんです。

人の染色体は23ペアかなんかあって、そのうちのXとYで男女が決まるっていうあれです。そのいっぱいある染色体の何番目かの螺旋の情報のこことここを調べると遺伝性乳がんになりやすいかどうかっていうのが分かるんだそうです。

まぁ分かりやすくまとめると、DNAの中にバグを持っているかどうか。

で、私はそのバグを持ってるんですが、そういう人の場合、

-乳がんになる確率は60~80%
-片方の胸に乳がん見つかって反対側にも出来る確率は60%
-さらに卵巣がんになる確率も高い

細かい数字はもう10年も経っているのでうろ覚えで、しかもまた最近は違うデータも出ているかもしれませんが、まぁそんな感じです。

オランダの場合、これを放置するより予防的に

-両方の乳腺を全摘する
-卵巣がんの確率が上がる40歳代以上は卵巣摘出する

という話があります。そして近親者にも遺伝子テストを受けるよう勧めます。

それらの処置や検査をやるかやらないかは本人次第ですが、基本的にこれらはスタンダードの予防治療に含まれ、全て保険でカバーされました。そして合理的なオランダ人は殆どの場合予防的に処置をする方を選びます。私もそうでしたが。

そして処置しない方を選ぶと定期的な検診を受けるように指導されます。私も卵巣摘出まではその検診をずっと受けていました。

オランダの場合、保険でカバーされたので自己負担0でしたが、その費用は保険で賄われるわけですから医療費として考えた場合決して安くはありません。しかしなぜこの予防治療に保険が適用されるのか?ここを考えてほしいのです。

癌治療はやったことのある人ならよく分かりますが、生死を戦う治療なので正直辛い。めっちゃ大変。できればやりたくない。死ぬかもって分かってても途中で投げたしたくなるんです。

それ位、精神的にも、肉体的にも負担が大きい。なら、そのリスクを回避できるならしたいよね?っていうのが患者側の考え方。

では医療費としたらどうでしょう?がん治療って高いんですよ。前に書いたことありますけど、抗がん剤の副作用予防の注射1本1500ユーロ、吐き気予防の薬が2錠で300ユーロとかでした、私の場合。記憶は定かじゃないですが。そんな値段なので、抗がん剤自体は一体いくらなんだろう???と。だからそんな抗がん剤、数回やれば予防手術費の元はしっかり取れますよ、同じ遺伝子を持った親戚一同全部予防手術したとしても。そう、予防治療の方が最終的に医療費が安くなるんです。

患者にもよくて、医療費も削減できるなら、やるでしょ?

全ての予防治療が安上がりになるかどうかは知りませんが、安上がりになるものに関しては何でやらないの?と思うわけです。

2019年4月15日月曜日

ここが変だよ、日本の医療①

仕事に忙殺されて、全く何のやる気もなくなった今日この頃。ブログの更新も音沙汰ですみません。でもこんなに消耗する医療系のお仕事、やっぱり変なことがいっぱい。

全部ここで暴露出来ませんが、言える範囲で冷静に何がおかしいか、この際ちょいと書いてみようかと。ということで、以前オランダの医療について体験談を書きましたが(そしてそれは殆どポジティブな内容だったと思いますが)、今度は日本のこと。

まずは初めは日本の保険システムについて。
「国民皆保険制度」と言われるこのシステム。みんなで保険料出し合って、病気やケガの時は一部保険でカバーしてもらえるから安心して医療が受けられますよ~という素晴らしい制度です。

え?
皮肉ぢゃございませんよ?

国民全員が保険でカバーされない国がある中、みんなが保険でカバーされてある日いきなり癌になろうと、心臓発作を起こそうときちんと面倒みてもらえるんですから。まぁ多少の自己負担額はありますが、高額になる場合は上限とかあったりして至れり尽くせりです。

しかも日本の医療保険の特徴は「歯」がカバーされていること。世界のどこ探しても歯を無条件でカバーしてるのは日本位じゃないんでしょうか?

ま、その弊害の話はまた別の機会にするとして、日本のこの素晴らしい保険制度には大きな問題点があります。それは、『保険は病気かケガの時にしか使えない』こと。

えっ、それの何が問題なの?

と思ったそこのあなたは健康でまだあまり困ったことのない方です。実はこの考え方、「色んな病気を予防しよう!」ということには使えないのです。

一番一般的なのは人間ドックとかがん検診です。自治体で一部補助があったり、会社で負担してくれたりするのでお気づきではない方も多いと思いますが、あれって自分で受けようと思ったら「病気じゃないので保険は使えません。」って言われる類の診療になるのってご存知でしょうか?

そう、ググってみてびっくり。人間ドッグをきっちりやろうと思ったら5万円とかしました、うちの近所の病院。

でもね、癌って早期発見、早期治療でしょ?
早期発見する為には検診いるじゃん?

でも、癌の疑いがあって検査するなら保険が使えても、そうでないと自費で何万円もかかるんですよ。自治体とかでカバーされる検診なんてほんの一部ですよ?

そういう理由でオランダで勧められた予防手術が日本で受けられなくて、わざわざオランダで自腹切って(そして本当に自分のお腹を切ってもらったワケですが・・・笑)手術を受けたのは既に6年前。

という理由で日本は予防治療というのがとても遅れています。ただ、医療費増加が問題だ、やれ高齢化が云々というなら、なおさらこれからは予防治療に力を入れるべきなんですよね、本当は。それなら保険の仕組みから考え直すべきでは?というのがワタクシのスタンスなのです。

まだまだツッコミたいことがいっぱいあるので、これからちょこちょこ書いていきます!