2012年11月28日水曜日

福島にて

先日まで日本でコンサートツアーをしてました。地元以外は今回全て福島でした。去年が忙しかったので、それより楽なスケジュールということでコンサート数を減らして計6回。

ところが移動は多いし、最後は毎日だったし、プログラムはヘビーで毎回違うし、ってことで今回もヘロヘロになっちゃいましたが・・・笑

ちなみにコンサートの一つは中学校でした。オランダの知り合いが、この中学校の校長先生の元教え子。そのツテで呼んで頂いきました。

この中学校、原発から20kmちょっと先にあったとのこと。中には20km圏内に住んでいた生徒さんもいらっしゃったそうで、福島県外に避難された数人の生徒さん以外全員で学校ごと郡山から車で40~50分の所に避難中でした。

地理感が全くないので、一番近い新幹線駅の郡山まで迎えに来て頂き、色んな話をしながら学校まで車で連れて行って頂きました。

途中「これが仮設(住宅)です」と何箇所か目にする機会がありました。文字通り仮の場所なので、プレハブの長屋みたいな感じです。連れて行って頂いた場所は、かなりたくさんの仮設住宅があるようで、車で移動中こっちもあっちもと言う感じでした。

それさえなければ、のどかな日本の田舎の風景。山があって、田んぼがあって、ちらほら家がある感じ。ちょうど柿の季節で、どこもたわわに実った柿で木がしなっていました。

食いしん坊の私がそれを見逃すはずもなく、ついぽろっと言っちゃいました。

「いやー、おいしそうな柿ですね♪」

ところが予期しない返事が返ってきました。

「あれは食べられないんですよ。線量が多すぎて。だからああやって手付かずでそのままにしてあるんです。」

大きなオレンジ色の美味しそうな柿の実が大きな木にいっぱいついてて、そんな木が至る所にあるのに、全てそのまま。余りにも美味しそうに見えるだけに悲しい現実だと思わざるを得ませんでした。

ちなみに放射線は山に一番たまりやすいそうなんです。落ち葉なんかが邪魔をするので雨などで流れずそのままたまっていくとか。ということで山のものは口にしない方がいいとか、なんとか。今はまだ水は大丈夫だけど、そのうち溜まっていく放射線がいつか水もダメにするだろうとか。稲は放射線を吸い上げにくいので米は大丈夫なはずだけど、最近規定値以上の線量が出た所があるとか。

厳しい現実だと思いました。そこにいない人間にとっては他人事ですが、当事者にしてみれば生活の基本の部分が脅かされているのですから。

そしてこの中学校は今、元の場所に戻るか戻らないかという議論をしている最中だそうです。どんなに除染してもらっても、20km圏内に家があった生徒は家に戻れないかもしれないから、20km圏外だった中学校を簡単に元に戻すことはできないとか。問題は深刻です。

ちょっと話をしただけで色んな問題を聞きました。多分これらは氷山の一角なのでしょう。まだまだ大変な状況で訪問した中学校でしたが、子供達はそれでも笑顔で元気いっぱいだったのがせめてもの救いでしょうか。

4 件のコメント:

  1. 渡辺真未(さなみ)2013年1月2日 20:02

    私達の学校のことをブログに書いてくださりありがとうございます。
    来年度も現在の学校で生活することになりました。
    また私達の中学校で講演をしてくださりありがとうございました。
    渡辺さなみ

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    1. 渡辺真未さん
      コメントありがとう。
      学校の皆さんと一緒に過ごさせてもらった午後は、色んなことを見聞きして、色んなことを考えることのできた貴重な時間となりました。まだまだ仮の場所での生活が続くようで大変だと思いますが、今の時間を大切にして素敵な大人になってくださいね。
      木山尚子

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  2. 中学校校長 佐藤2013年2月2日 12:06

    木山さん、体調はいかがですか。中学校校長の佐藤です。素晴らしい演奏、お話ありがとうございました。「努力を続ければ、必ずどこかにたどりつく」。木山さんのこの言葉、そして木山さんの生き方に感動したという感想を書いた生徒が多くいました。生徒も私たちも力づけてくださり感謝の気持ちでいっぱいです。コンサートの約2週間後のことでした。真未さんのお話の通り、来年度も今の仮校舎でという方針が市より示されました。再来年度以降は未定です。除染作業はいまだ進行中です。でも、子供たちは元気です。高校入試もスタートし、3年生は夢の実現に向けて頑張っています。その姿を見て、1、2年生もがんばっています。とても頼もしくなりました。木山さん、おいしいものをいっぱい食べて、そして、ご自愛ください。

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    1. 佐藤校長先生
      素晴らしい機会を与えて頂いてこちらこそありがとうございました。私が伺ったことで、次の世代を担う子供達になんらかしら感じ取ってもらえたのであれば光栄です。また御校でさせて頂いたような事が自分の生涯活動として続けられたらなと思ってます。

      今年は4月の滝桜のシーズンに三春町のまほらでまたコンサートをさせてもらえそうで、現在書道家の千葉さんと前とはちょっと違う企画を練っている最中です。よかったらまたお越し頂ければ幸甚です。

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