癌の診断を受けてすぐの頃、余りのショックで一時混乱(錯乱?)してた時期がありました。こればかりは「癌です」と言われた人でないとその気持ちは説明できませんが、ある日突然自分の生活にど~んと爆弾が降ってきた感じ。私の父も喉頭癌を患ったことがあるので、家族が癌と診断された時の気持ちは分かっていたのですが(これはこれで大変なのですが)、自分が診断されるのはまた別なんですね。
自分が父の時にどう感じたかよく覚えているだけに、めったやたらと「癌と診断された」とは言えず、治療方針は決まっていたものの、自分がまだ癌であることも、治療方針も納得できていたわけではなく、とはいえ家族に全く黙っているわけにもいかないし、困って病院の腫瘍外科の看護婦さんに精神科医を紹介して欲しいと頼んだのです。
日本に比べてこちらのほうがその分野は進んでいるだろうと思っていたので、精神科医をすぐ紹介してもらえるだろうと予想していましたが、まさか「癌専門の」精神科医がいるとは想像もしていませんでした。しかも家から超近所に!ちなみにそこは1人の医者で診療しているわけではなく、HDIという名の機関で、癌患者、癌患者を抱える、又は抱えていた家族を対象に、個人セラピー、グループセラピーなど必要に応じて様々な治療が受けることが出来るようになっているのです。
精神科医も対象に応じて色々な人がいるようで、私の場合は中年女性で彼女自身も子宮癌の経験者。つまり癌の告知をされる時にどう感じるか、治療方針について納得できない気持ち、治療中に息切れがしてくる気分、など全て彼女も経験していることだけに、精神科医に早めにかかってよかったなぁ、と今となっては思えるわけです。
リハビリやこれからの職場復帰についての話を通して知ったのは、このHDIは癌に関する全てを網羅しているのではないか?と思われるほど、色々なセラピーが用意されているのです。前にも書いた私のリハビリセンターでのリハビリも、グループトークはこのHDIから精神科医が特別にやってくるんですね。また癌治療をした患者が職場復帰を徐々に出来るように精神面のサポートをするグループセラピーもあるのですが、こちらはUWV(失業手当も扱う社会福祉関連の機関)と提携してやっています。また若くして癌になった人(10代~20代)の為の特別セラピーや、癌で亡くなった人の家族の為のセラピーなど、その種類の豊富さには脱帽です。ちなみにこれらの心のケアは勿論医療行為とみなされるので、健康保険で一部から全額カバー(保険会社の保険の種類によって変わる)されています。さすが、オランダ!
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