2012年1月9日月曜日

癌患者を支えること

このブログ、日常のことを書いているだけなのに、知らないうちに闘病記として闘病者の為のサイトで紹介されていました(焦) ここはご期待にそうべく(!?)ちょっとマジメな話を・・・

「あなた、癌ですよ」

と言われて冷静に受け止められる人はまずいないと思います。実際に私は検査結果を聞きに行った初診で、癌であるという事、手術が必要であるという事以外、1時間近くも一体何を外科医と話したのか記憶がありません。

癌専門の精神科(精神腫瘍科、Psyco-Oncology:サイコオンコロジー)というものが存在するくらいですから、告知から治療中のプロセスのストレスは癌患者にとって相当なものだと言えます。

「これで死んじゃうかな?」という覚悟をすることだってあるし、治療中に医者から「今のままだと命に危険があります」と言われたりするわけですから当たり前と言えば当たり前ですが。

ただ自分が癌患者であるということは、自分の病気と治療に専念すれば良いという意味で、癌患者を支える家族より精神的な負担は「軽い」と言い切ると語弊があるかもしれませんが、軽いような気がします。

私の場合、自分が癌を患う3年位前に父が癌になりました。幸いステージ1の初期で今ではピンピンしていますが、それでも癌の疑いがあると言われて検査をして、検査結果を聞き、治療方針が決まり、治療をする各段階で、毎回何もできない自分にやきもきしていたのをよく覚えています。

父が「癌だったらどうしよう」、「結果がでるまでにひどくなったらどうしよう」、「これで終わりかな?」など不安を口にする度に、家族として自分だって同じ事を考えているわけです。でもそういう不安を本人には隠して色々慰め励ます、と言うのは想像以上に大変でした。

勿論、治療の肉体的な痛みや負担は本人以外には分かりません。ただその辛さというのは家族にも伝わります。そして本人と同様に家族も不安なものです。でも家族の場合は、その上さらに癌患者を治療の過程でずっと支えていかなくてはならない、という意味でもっと大変とも言えるでしょう。

当然支える方にしたって人間ですから、完璧と言うわけにはいきません。ですから、癌という病気になることで崩壊する家族だってあります。というか(オランダでは?)別れるカップルや夫婦が多いのも事実です。本当ならこういう「病める時」も愛すると誓って結婚してるはずですが、実際の所は癌と言う病気が二人の間にどーんと割り込んで、関係に大きな亀裂を入れていくことになります。

接着剤でくっつけてもヒビはヒビ。元には戻りませんし、ひどい時は修復不可能ということです。それ位、癌と言う病気になるということは人生に大きな影響を与えると言っても過言ではないと思います。

振り返ってみれば、良い意味で人生観が変わり生きやすくなったとも言えますが、その悟りの境地に至るまでの道のりを考えると、癌患者本人だけでなく、癌患者を支える家族やパートナーにも辛い時には我慢や無理をせず、精神腫瘍科のお世話になってみるのも一つの選択肢ではないかと思います。

オランダの 精神腫瘍科専門の機関、Helen Dowling Institute→ http://hdi.nl/

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