2009年12月16日水曜日

ウィッグ

抗がん剤で髪がかなり抜け落ちたのは既に半年以上前。毎日すごい量抜けて、起きたら枕にごっそり髪の毛がついているし、シャワーの排水溝は真っ黒で水が流れなくなる程。手櫛を入れるとそうめんの束くらいが毎回抜けるんです。いい加減、掃除が嫌になって、きれいさっぱりそり落としたのが4月の頭。それからはずっと医療用カツラで過ごしてました。ハゲなのは尼さんみたいであまり気にならなかったんですが、そのまま外に出ると「癌です」という看板をしょって歩いている気分になるのが嫌だったので。

抗がん剤が7月に終わり、7月末からどんどんまた髪の毛が生え始めて、既に数センチ。そろそろカツラも飽きてきたし、スーパーショートヘアーです、と言えるくらいは伸びたので、カツラをかぶるのをやめたのが10月末。でも、ここまで短いと何も出来ないからやっぱり2ヶ月もたつとこのショートにもはっきり言って飽きが来ていました。「またカツラでも買おうかな~」となんとなく思っていたところ、美容院のお姉さんと話をしていたら「Onlineで色々買えるよ」と教えてもらったのです。

初めは教えてもらったサイトだけを見ていたのですが、どうもあまりいいものがない。で、思い出したのが、初めのカツラを買ったお店で聞いた「殆どのカツラはアジア産」と言う話。それなら、と思って日本語で検索したら、あるある!とにかく色んなスタイルがいっぱいあるし、各スタイルに色が最低5色はある。黒、ナチュラル茶、茶、ライト茶、ブロンド、黒とライト茶のハイライト、黒と茶のミックス、なんて具合。さらに耐熱のものもあって、そうなると自分でスタイリングも可能だったりする。いや~、やっぱり日本は進んでる!さらに、かなりお手ごろ価格というのが嬉しい。

実は、初め買ったカツラは医療用カツラ。選んだのはナイロン製のものだったで、ミドルクラス。それでも値段は約600ユーロ(8万円弱)もして、これが本当の人毛だと1000ユーロ(13万円)とかになる世界なんですね。さらにカスタマイズで作るとこれが100万円とかになったりするんです。これがなかなかカツラに手が出せない大きな理由になるんですが、私が見つけたオンラインショップでは3千円くらいからあるんです。いや~、嬉しいですね。ということで、早速ショートとロングの2種類もオーダーしてしまいました。さて、似合うかな?

栄養士 12月2日

血液中のビタミン値が低いので、内科から栄養士に送られました。出てきた栄養士は若いお姉ちゃん。大丈夫かいな?と半信半疑でとりあえず問診に回答。

要は口頭で普段食べているものとその量を簡単に言うだけ。で、彼女の出した答えは「脂肪が足りないから、バターとかマーガリンを必ずパンに塗りなさい」って。普通、コレストロールが高くなるからこの手の脂肪はとるなというのが常識。そこで反論したところ、「でもあなたは脂分を取ってない」と。そこで普段食べているものをさらに詳しく説明して反論。つまりところ、彼女の頭の中では料理名を聞いただけでその中に何が入っているか知らないんですね。全くもう!

さらに「果物を取ってない」って。これは「果物ジュースを飲んでる」と言ってるのにもかかわらず。そこで、ジュースは出来合いのパックのではなくて自分でちゃんと果物を何個か使って作ってるとまで言わないと分からない。さらに「ビタミンAをとってない」とも。なので、食べてる野菜を一々説明してそれで十分かどうか聞かないと駄目。「一体何なの、この栄養士は!」というのが正直な感想。結局自分の知識内で十分対応できてるし、あまり役に立たないアポでした。やれやれ

歯科

白血球がもとに戻ったので、半年ごとの歯のチェックアップに行ってきました。これまで虫歯0を誇っていたのですが、なんと今回初めて永久歯に虫歯があったのです!結構ショック。。。

実は、抗がん剤をはじめてからちょっとおかしいかも!と思ったことがあって気になっていたのですが、やっぱり。歯医者に言わせると抗がん剤の影響とは考えられないとのことですが、これまで全然虫歯とは縁がなかっただけに、抗がん剤の副作用で白血球が以上に減り、バクテリアに対する抗体が弱っていたとしか思えないんですね。さらに、もっとショックなニュースはその虫歯になった歯が死んでいると。インプラントをする必要まではなかったのですが、当然死んだ歯を使えるように治療をする必要があると。

歯医者では歯が死んだ理由は矯正をしていたからと言われたのですが、矯正もする歯医者の友達に言わせると矯正で歯が死ぬなんてあまり考えられないし、理由は他にもあるはず、と。歯が死ぬほどの圧力をかけたところで、動かない歯は動かないので。いずれにしろ、リテーナー(矯正した後の歯が動かないように裏から固定する金属)のとめ具が外れていたので、矯正歯科にも行ってクレームをしたのですが、やはり私の歯医者の友達と同様、矯正だけで歯が死ぬとは考えにくいと。この矯正歯科医のクレーム処理の態度が余り良くなかったので、頭にはきたもののクレームをしたところで死んだ歯が戻ってくるわけではないし、歯1本にエネルギーを費やすのもばかばかしいので、結局泣き寝入りです。

後日、歯医者から請求書が届きました。保険でカバーできるのを除いた自己負担額は150ユーロ(約2万円)。痛い出費です。

2009年11月22日日曜日

お見舞い

リハビリで一緒のメンバーが調子を崩して入院して既に数週間。自分の定期健診でいく病棟に入院していたので、自分の検診が終わってからお見舞いに行ってきました。

彼の調子は芳しくなく、状態も全然良くならないし、いつになったら良くなるのか見当もつかない程でした。当然、本人もその状態がずっと続いていることにイライラしていて、「もうこんなんなら、いつ死んでも別にいいんだよ。」と。

自分も手術後になかなか回復しないことにイライラしていたので、その気持ちはすごく良く分かるんです。たったこの間までピンピンしてなんでも自分で出来たのに、いつの間にか自分の体なのに自分の思い通りにならない状態になってる。誰か「癌がひどいのか、癌治療がひどいのか」と言っている人がいたけれど、本当にそう。「治療のせいでこんな思いするのならもう治療なんてやめたい」と思ってしまうんですね。ま、私も未だにそう思うこともありますが。

私の入院中、唯一の楽しみは人が来てくれる事でした。手術後で殆ど動けないし、体力がなかったからとにかく疲れるのだけど、それでも人が来てくれてしゃべれることが楽しくて、その時間に合わせて身支度をして、おしゃべりをする体力を充電する為にお昼寝をしたものでした。あの時に「来てもらえるだけでありがたい」と思ったからこそ、余り知らないこのリハビリ仲間のお見舞いも「行くだけで価値がある」と。

予想通り彼にはすごく喜ばれて「行ってよかったな」と。一方で、何かしてあげたいのに何も出来ない自分がもどかしいんですね。それで初めてあの時自分のお見舞いに来てくれた人がみんな「ね、何かして欲しい?何か欲しい?」と聞いていた理由が初めて分かりました。というわけで、来週の通院でまた彼のところに顔を出す予定です。次は気分晴らしの花でも持って行きますかね。

腫瘍内科 11月18日

毎月行っている内科医とのアポ。なかなか白血球が元に戻らないから開放されなかったのだけど、とうとう今回の血液検査で白血球が正常値に戻っていることが確認できました。ほっ。週2回のビタミンB12注射が効いたのか、或いは体がやっと回復したのか。ま、理由はともあれインフルエンザや風邪が蔓延している今日この頃、これで一安心です。

とはいえまだホルモン療法の副作用はひどいので、副作用を軽減すべく更なる薬を処方するか、別の薬に変えるかを検討することになりました。その他、ビタミン欠乏が食事によるものなのか、或いは腸の異常なのかを検査する為、栄養士に送られることになり、同時に小腸まで届くカメラで組織検査することになりました。ちなみに胃カメラを飲むのも大変だからカメラを飲むと聞いてぎょっとしたのですが、「吐きやすい体質?」と内科医に聞かれ、速攻で「はい。子供の頃からよく吐いてたので、吐くのはとても上手です。」と答えたら、「じゃあ、麻酔で寝かせてあげる。それだったら何も感じないから。ゲェゲェなると大変でしょ。」って。癌患者に対する甘やかせ作戦のオランダ、好きだな~~~

というわけで、まだまだ完全ではないけれど、これで一歩前進って所でしょうか。

2009年11月8日日曜日

レントゲン

外科の定期健診の準備として、残っている左胸のレントゲンをとってもらいました。前回癌と診断された時以来、1年ぶりのレントゲンでした。

幸いにも何も写っていなかったので、その場で放射線医から「異常なし」と言ってもらえました。ほっっっ。

DNAテスト

木曜日に遺伝子学科(?)へ出向いてきました。30代で癌になるには早すぎるから遺伝かどうか調べたほうが良いと外科医からも内科医からも言われて、この科に送り込まれたのです。

アポの前に色んな書類を提出しなくてはいけなくて、その中のひとつが家族形成とその病歴。つまり家族の中に癌がいれば、どんな癌で、いくつの時になったかなどを詳しく書いて出すのです。

医者(というより、リサーチャー?)との話は生物の授業みたいで、まずは受精卵の分裂とその際遺伝子がコピーされる過程、遺伝子の種類や仕組みなどを分かりやすく図を見せて説明してくれるのです。早い話が遺伝子の中に癌を予防する情報があって、そこにバグが含まれているかどうかを調べると言うこと。余りにも面白い個人授業だったのでついでに色々聞いちゃいましたが、私が調べてもらうのは乳癌予防をしてくれる遺伝子情報(BRCA1とBRCA2)の部分だけ。

と言うと簡単に聞こえますが、実際には血液採取して、その中から白血球を取り出し、そこから遺伝子を取り出して、ひとつずつ調べていくんだそうです。全ては手作業なので、結果が出るにはとても時間がかかります。これもちゃんと保険でカバーしてくれるのでオランダでは自己負担はありませんが、聞くだけでも気の遠くなりそうな作業の割に、1回のDNAチェックの値段は700ユーロなんだそうです。

実際に遺伝であるといわれるのは全体の10%位だそうです。また例え遺伝であったとしても次世代にも遺伝してしまう可能性は50%。これは子供は男親と女親の両方から一つずつ遺伝子をもらうので。但し、遺伝子にバグが含まれていると癌の発症率は60~80%なんだそうです。なぜなら遺伝子情報は「癌になる遺伝子」ではなく「癌を予防する遺伝子」なので、ここに情報エラーがあると癌を予防する機能が下がり、癌細胞が代謝されにくくなっていく、つまり癌になるということなのです。

それ他遺伝の場合、自分自身の癌発症率がさらに高まることを意味するので、定期健診がさらに延び、同じ遺伝子で関係する卵巣癌の検査も含まれることになります。さらには、癌にならない予防治療として乳房&卵巣の切除などが検討されることもあるとか。ま、これらの話は実際に結果が出てからの相談になりますが。。。

というのが私のオランダ語力と知能で理解した範囲。さて、どういう結果になることやら。