2011年10月17日月曜日

オランダの医療事情12

外科での治療が一通り終わった段階で、「抗癌剤するので内科へ行って下さい。」と言われ、すぐ内科送りとなりました。初めての内科の診察で聞かれたのが

あなた、子供はいますか?いないのなら作る気はありますか?

「って、抗癌剤とどういう関係があるんだ???」と思うような質問。色々あってそろそろ子供でも?とちょうど話していた頃に癌が見つかったので、そのままになっていたこと。で、そのように答えた所、医者から言い渡されたことが、

抗癌剤投与で、婦人科系は機能しなくなります。つまり、自然に妊娠することは99%の確率で不可能になります。

手術で乳腺をとるということは女を失うことだと思っていましたが、まさかことごとく女としての機能を失うことになろうとは思いもよらなかったことの一つです。まぁ、生きるか死ぬかとやっている時に、女がどうとかいう次元ではないというのは頭で分かっていても、感情がそれを受け入れることができるかどうかはまた別問題だったりします。

日本でここまで説明して抗癌剤投与をされているのかどうかは知る由もありませんが、オランダではそういうことを説明した上で

治療が終わってから妊娠できるように産婦人科でその可能性を話してきますか?不妊治療の一環でどこまで出来るのかは私には分かりませんが、もしかしたら卵子か受精卵を保存するというのが出来るかもしれません。まだ実験段階かもしれませんし、詳しくは産婦人科で聞いてください。

ということでとりあえず産婦人科へ行くことになり、それまで抗癌剤投与を待ってもらうことになりました。知り合いの腫瘍内科医も「まだ手法としては確立されてない実験段階だと思われる」と言っていた不妊治療。あまり期待もせず産婦人科へ行ってみたらなんと「あなたは特別のケースだから」と産婦人科の教授がお出ましになり色々説明をしてくださる。結論から言うと、

癌の再発リスクを抑えて妊娠することは可能。そしてその為には色んな方法があるが、とりあえず受精卵を冷凍保存させておくのがいいでしょう。ちなみにこれはすでに確立された方法で、これで何人も出産しています。まぁまだ子供が成人になってるケースはありませんが。

ということで、早速その冷凍保存の為の手続きに入ったのはいうまでもありません。選択肢は多い方がいいですから。ということで、これが私のプランA。これでダメだったらきちんとプランB以下も用意されています(笑)

ちなみにオランダでは、産婦人科の不妊治療を受けるには最低数年待ちと言われています。そして色んな手順を踏んでやっと治療が始まるわけですが、私の場合は抗癌剤投与を待ってもらっている関係上、とにかく『大至急』で受精卵を作る必要があり、色んな手続きをかなりハショってもらって初めの診察から冷凍保存までかかった時間わずか1ヶ月弱。「私みたいな迷惑飛び入り患者がいるから、数年も待たされるのか!」と思う反面、踏んだり蹴ったりの治療中に一瞬でも希望をみせてもらえたこの治療は本当にありがたかったことでもあります。

日本ではまだここまでしてもらえないと聞いていますが、本当にできないわけではないと思います。形成外科だって、不妊治療だって、それだけならできる施設もあるはずなんですよね。問題はそれを患者が自分で探してこない限り、受けれないことなのではないかと思います。要は横の連帯さえうまく機能すれば出来る話なのに・・・と思うと残念な話しだなぁと思います。こういう患者の心理的なストレスの軽減に関してはオランダでは色んなリサーチが行われていて、そういう分野は実はかなり進んでいるのではないかと思います。(つづく)

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