ヨーロッパ生活約17年を経て先日完全帰国。
「のだめ」のような音大生したり、ばりばりのキャリアウーマンしたり、
これで死んじゃうかも!という病気したりの人生。
日々の色々をブツブツ独り言としてつぶやいています。
2011年10月7日金曜日
オランダの医療事情5
実は癌の告知をされて一番困った事は、それをどのように両親に知らせるか。遠く海外での病気、しかも治療方針などに自分でまだ納得ができていない、それでも遅かれ少なかれ手術になるので知らせないといけない、でも知らせたらパニックになるほど心配するだろうなと。
職場の上司にはすぐに伝え、とりあえず自分のことに専念できる環境は提供してもらっていました。そして会社を休んで家にいてもよいとも。ただ、何かしていないと自分がどうかなってしまいそうなほど私自身が不安定だったので、あえて日常の生活パターンを崩さずに続けようと、会社にも行っていました。
とはいえ仕事に集中できるわけもなく、家でも泣いてわめいて喧嘩しての繰り返し。感情の起伏は激しすぎて、ジェットコースターにでも乗った気分。今考えるとあの頃の自分は躁と鬱を繰り返していたのではないかと思います。
そんなある日、全てを投げ出してしまいたくなったのをきっかけに「このままだと手術前に自分は死ぬんじゃないか」と。それで思いついたのが精神科医だったのです。
欧米では精神科医やカウンセリングというのは日本より一般的です。そこへ行く事で「キチガイ」というレッテルを貼られることもありません。これまで何があってもそんな所へ行こうと思った事はなかったのですが、今こそプロの助けが自分には必要なんだ!と。そしてまた担当看護師さんに連絡して精神科医を紹介してもらう事にしました。
大学病院内にも精神科か心療内科かあるはずなので、すぐに紹介してもらえるだろうと思っていたのですが、驚いた事に紹介されたのは大学病院外の施設。なんとオランダには癌専門の精神科(精神腫瘍科=サイコオンコロジー)の団体があったのです。
この団体では癌患者、その家族、そして医療関係者のための様々なカウンセリングやコースを提供しています。当然、癌に関係ないと行けませんから、ここもホームドクターからの紹介状があって初めて患者として受け入れてもらえる事になります。
ということで、初めて連絡した時にはお決まりの『順番待ち数週間』と言われたのですが、自分の状況を簡単に説明してその緊急性を話したら、キャンセルが出たら優先的に連絡してもらえる事になりました。そして運のいい事に、2日後にキャンセルが出たのでした。
そして私の担当カウンセラーは、自身も癌を患ったことのある人だったのです。彼女は癌治療の知識だけでなく、その状況で実際にどう感じるかを自ら知っていたのです。この事は私にとってはカウンセラーと信頼関係を作りやすかっただけでなく、時には「癌患者の先輩としてどう思うか」という質問を投げてアドバイスをもらったりすることができ、とても重宝しました。そして彼女のおかげで私は早々に鬱から抜け出し、家族へも知らせ、自分の状況を受け入れ、治療と向き合う事ができたともいえます。 (つづく)
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